北海道新幹線の工事は順調に進んでいる部分もありますが、一部の区間では困難な状況に直面しています。最大の難所ともいえる羊蹄トンネルの状況を、まとめてみました。
北海道新幹線のトンネル工事の進捗と課題
北海道新幹線の工事は順調に進んでいる部分もありますが、一部の区間では困難な状況に直面しています。以下はその詳細です。
道南の北斗市と八雲町を貫く大島トンネル
このトンネルでは昨年3月に土砂が流入し、月に65m進む予定が20mしか進まない区間も発生しました。最も工事が遅れているのは倶知安町とニセコ町の間の羊蹄トンネルです。
巨大なシールドマシンで掘り進められましたが、2021年に5階建てのビルに相当する巨大な岩が出現し、迂回トンネルを掘り反対側から岩を爆破して突破する方法が取られました。しかし、工期は4年遅れました。この羊蹄トンネルでは新たな岩が見つかり、掘り進められない区間があるため、現場に初めてカメラが入りました。
工事の困難さ
火山灰や砂、地下水が高く、普通に掘削すると水と砂が一緒に崩れてくるリスクがあります。羊蹄の噴火活動により、安山岩などが所々に混ざっている地形となっています。このため、トンネル工事は非常に難航しています。
新たな工事方法
羊蹄トンネルでは新たな工事方法が導入されました。地上から2mの通常のドリルで穴を掘り、その中に入った岩を撤去しています。岩の塊を突破するため、地上からのアプローチが取られ、直径2mのドリルで上から72箇所を掘り下げて少しずつ岩を取り除いています。この方法により、岩の撤去は10ヶ月ほどで完了する見込みですが、さらに新たな岩の塊が控えているため、工期全体の見通しは立っていません。
青函トンネルの教訓
新幹線に関連するトンネル工事は、過去にも多くの困難を経験しています。1964年から始まった青函トンネルの工事では、何度も出水事故が発生し、1976年には海水が吹き出す事故で34人が亡くなりました。しかし、トンネルマンたちは24年の歳月をかけて全長およそ54kmのトンネルを掘り抜きました。
現在の工事状況
現在、札幌までの延伸工事は2030年末の開業を目指していますが、工期の遅れが生じています。例えば、札幌から近い札樽トンネルは残土の処理問題で3年半遅れており、大島トンネルは土砂の流入により3年から4年の遅れが発生しています。
今後の見通し
今後も新たな岩や人手不足の問題により、工期のさらなる遅延が懸念されていますが、工事関係者は安全かつ効率的に工事を進めるための努力を続けています。北海道ニュースUHBさんの動画を見てもわかるように、安全で快適な新幹線の開業を目指して、工事関係者の皆様は、日夜命がけで取り組んでくださっています。
北海道新幹線の駅とルートの概要の表です。
北海道新幹線の駅とルートの概要
項目 | 新青森~新函館北斗 | 新函館北斗~札幌 |
---|---|---|
区間 | 新青森~新函館北斗 | 新函館北斗~札幌 |
開業(予定) | 平成28年(2016年)3月26日 | 令和12年度末(2030年度末) |
工事延長 | 約149km | 約212km |
経過地 | 【青森県】 青森市・蓬田村・外ヶ浜町・今別町・ 中泊町 【北海道】 福島町・知内町・木古内町・北斗市・ 七飯町・北斗市 | 【北海道】 北斗市・厚沢部町・八雲町・長万部町・黒松内町・蘭越町・豊浦町・ ニセコ町・倶知安町・仁木町・赤井川村・余市町・小樽市・札幌市 |
駅 | 【青森県】 •新青森駅(既設) (青森市) •奥津軽いまべつ駅 (今別町) 【北海道】 •木古内駅 (木古内町) •新函館北斗駅 (北斗市) | 【北海道】 •新函館北斗駅 (北斗市) •新八雲(仮称)駅 (八雲町) •長万部駅 (長万部町) •倶知安駅 (倶知安町) •新小樽(仮称)駅 (小樽市) •札幌駅 (札幌市) |
主な構造物(トンネル) | 【トンネル】 •津軽蓬田トンネル(6,190m) •札苅トンネル(1,235m) •幸連トンネル(1,410m) •泉沢トンネル(1,720m) •渡島当別トンネル(8,073m) •新茂辺地トンネル(3,345m) | 【トンネル】 •渡島トンネル(32,675m) •野田追トンネル(8,165m) •立岩トンネル(17,035m) •内浦トンネル(15,565m) •昆布トンネル(10,410m) •羊蹄トンネル(9,750m) •二ツ森トンネル(12,630m) •後志トンネル(17,990m) •札樽トンネル(26,230m) |
主な構造物(橋りょう) | 【橋りょう】 •大谷地線路橋(185m) •木古内川橋りょう(164m) •茂辺地川橋りょう(186m) •大野川橋りょう(164m) | 【橋りょう】 •遊楽部川橋りょう(245m) •尻別川橋りょう(340m) •南倶登山川橋りょう(210m) |
北海道新幹線の概要
北海道新幹線は、本州と北海道を結ぶ高速鉄道であり、現在新青森駅から新函館北斗駅までの区間が運行されています。この区間は2016年3月26日に開業し、東京から新函館北斗まで約4時間で結ばれています。
現在の運行状況
新青森駅から新函館北斗駅までの約149kmは、毎日東京との間で10往復、仙台、盛岡、新青森との間でそれぞれ1往復(合計13往復)の運行が行われています。これにより、東北地方や首都圏から北海道へのアクセスが非常に向上しています。
札幌への延伸計画
現在、新函館北斗駅から札幌駅までの約212kmの区間が建設中で、2030年度末の開業を目指しています。この延伸により、札幌までの移動時間が大幅に短縮される予定です。
未来の展望
将来的には、札幌駅からさらに旭川市への延伸も計画されています。旭川延伸については、最高速度360km/hを目指す計画があり、地域経済や観光への大きな貢献が期待されています。
北海道新幹線のメリット
- 所要時間の短縮: 東京から新函館北斗まで約4時間で結ばれており、今後札幌までの時間も短縮される予定です。
- 利便性の向上: 新幹線の開業により、北海道へのアクセスが向上し、観光客やビジネス客の増加が見込まれています。
- 経済効果: 地域経済の活性化や雇用創出に寄与することが期待されています。
課題と対策
- 建設費の増大: 建設費が増大しており、財源の確保が課題となっています。地方自治体の負担軽減策が講じられています【9†source】。
- 環境への影響: 建設工事が自然環境に与える影響が懸念されていますが、環境保護対策が進められています。
最新の運行速度
2024年1月から、主要な休暇期間中には新幹線の最高速度が260km/hに引き上げられ、所要時間のさらなる短縮が図られています。
まとめ
北海道新幹線の延伸工事は、多くの困難と挑戦に直面しています。特に道南の北斗市と八雲町を貫く大島トンネルや、倶知安町とニセコ町の間の陽トンネルでは、巨大な岩や火山灰、地下水の影響など、多様な自然の障害と戦いながら工事が進められています。
過去の青函トンネルの教訓を生かしつつ、最新の技術と工法を導入している現場の努力は、札幌への新幹線延伸を実現するための重要なステップとなっています。2030年末の開業を目指しているものの、工期の遅れも懸念されており、今後の進展に注目が集まります。
私たちは、工事が安全に進むことを心から祈りつつ、関係者の方々が困難を乗り越え、未来の便利で快適な交通手段を提供してくれることを期待しています。北海道新幹線が地域の発展と人々の生活向上に大きく貢献する日が来るのを楽しみにしています。