もしも洪水が起こったら・・・豊平川の堤防が決壊したら…
その瞬間、私たちの街に何が起こるのでしょうか?豪雨のたびに増大する洪水リスク、地下鉄や地下街が浸水する恐れ。そして、私たちの安全はどう守られるのか?
気候変動がもたらす異常気象の中で、札幌市が直面するこの重大な課題を、【国土交通省北海道開発局】の予測CGを見ながら考えていきましょう。
1.豊平川の洪水。堤防決壊想定地点は、幌平橋やや上流左岸
豊平川で洪水が起こった場合、堤防の決壊想定地点は、幌平橋周辺。そしてあふれ出した濁流は・・・
札幌市内を流れる豊平川の堤防が決壊した場合、氾濫した水は短時間で札幌駅まで達し、浸水被害は地下街まで及びます。
引用元:札幌市(https://www.city.sapporo.jp/kensetsu/kasen/link.html)
豊平川の堤防がもし決壊したら、その洪水で札幌市はどのような影響を受けるのでしょうか?特に地下街の浸水リスクが気になります。地球温暖化による気候変動で豪雨が頻発している今、この問題はとても大切です。今回は、豊平川の堤防決壊がもたらす影響と、その対策について詳しく見ていきましょう。
2. 豊平川洪水の札幌市の被害予想
豊平川の堤防が決壊し洪水に至るには、過剰な雨量による水位上昇や、堤防の老朽化があります。大量の雨が降ると、川の水が堤防を越えて流れ出し、堤防が壊れてしまいます。これが「堤防決壊」による洪水です。
洪水による札幌中心部の地下街・地下鉄の浸水シミュレーション
【国土交通省北海道開発局】が行ったシミュレーションによると、72時間にわたって合計400ミリの雨が降ると、豊平川の堤防が決壊し洪水に至る可能性があります。堤防が決壊すると、水は一気に市街地に流れ込み、短時間で札幌駅など広範囲に浸水被害をもたらします。地下街や地下鉄へは数多くの入り口から浸水の可能性があります。
「幌平橋-付近-決壊」からの時間 | 場所 | 浸水深/範囲 |
---|---|---|
120分後 | ススキノ交差点 | 40センチ |
200分後 | 札幌駅前 | 50センチ |
6時間後 | 札樽自動車道やモエレ沼公園 | – |
12時間後 | 新琴似駅や地下鉄麻生駅付近 | – |
24時間後 | 茨戸川付近 | 浸水範囲が広がる |
札幌市・中の島、水車町、豊平方面の洪水被害は?
【国土交通省北海道開発局】豊平川の氾濫-豊平川の堤防が決壊したら-。によりますと、今回のシミュレーションでは豊平川左岸の決壊というシナリオです。そのため右岸の被害状況についてはあまり触れられていません。
ですが、あくまで想定シナリオですので決して油断することはできません。普段から札幌市の浸水ハザードマップなどを確認し災害を想定しておくことで、より安心な生活が送れます。
3.決壊想定位置-なぜ幌平橋なのか?
では、【国土交通省北海道開発局】豊平川の氾濫-豊平川の堤防が決壊したら-。をもとに、決壊想定位置を見てみましょう。
豊平川の洪水で、幌平橋が決壊想定位置の理由
【国土交通省北海道開発局】豊平川の氾濫-豊平川の堤防が決壊したら-。を見てみますと、札幌にお住まいの方であれば「あっ!」とお気づきの方もいると思いますが、ここは幌平橋です。橋から100m程のところには「地下鉄南北線 幌平橋駅」がある、高級マンション地帯です。
こちらの下の動画(GoogleEarth利用)を見ていただくとわかりやすいのですが、この位置は豊平川の川幅が「ぎゅっと」狭まっています。つまり水位と水流が増してくると、この位置に集中的に力が加わることになります。その結果、最も決壊しやすい可能性があるということなのでしょう。
一度決壊すると、「地下鉄南北線 幌平橋駅」には濁流が流れ込む可能性があります。さらに、200分後: 札幌駅前に到達、浸水深50センチに達すると予想されています。当然この時には、すすきのや大通り一帯は濁流でおおわれているということになります。
この地域は地下鉄駅が数多くあります。「東豊線 豊水すすきの駅」や「南北線 中島公園駅」「すすきの駅」「大通駅」「札幌駅」「東西線 バスセンター前駅」など主要の地下鉄駅や、「地下街ポールタウン」などの地下施設が充実している地域です。
地下施設への影響
地下鉄駅: 上記の各時間ごとに浸水のリスクが高まり、駅の運行停止や封鎖が相次ぐ可能性がある。
地下街ポールタウン: 早期に浸水し、閉鎖が必要。店舗や歩行者への影響が大きい可能性がある。
洪水時の地下歩行空間(地下街)の様子
4. 豊平川洪水による、札幌市地下街や、地下鉄への影響
地下街の構造と重要性
札幌市の地下街は、特に冬の寒さから人々を守るために非常に重要です。地下街には多くの商業施設や交通機関の入口があり、毎日多くの人々が利用しています。例えば、札幌駅前通地下歩行空間やポールタウンなどがあります。
地下街や地下鉄への洪水の影響
洪水により大量の水が札幌市中心部に流れ込むと、地下街にも水が入ってしまいます。地下街が浸水すると、店舗や施設が被害を受け、営業停止になることもあります。また、地下鉄の運行にも支障が出る可能性があります。これにより、経済的な損失が発生し、市民生活にも大きな影響を与えます。
札幌市では、水防法に基づき、浸水想定区域内にある地下街や地下鉄駅舎等、不特定多数の方が利用される地下施設を札幌市水防計画に定め、洪水のおそれが生じた時に、避難情報等を確実に伝達することとしています。
引用:札幌市(https://www.city.sapporo.jp/kensetsu/kasen/link.html)
札幌市では上記の様に「避難情報等を確実に伝達すること」としているため、不確かな情報で動かず、必ず市職員や係員などの指示に従い落ち着いて行動することが大切です。
普段から、札幌市のハザードマップなどを確認し、万が一の場合に備えましょう。
5. 豊平川の洪水対策と準備
市民が取るべき豊平川の洪水の防災対策
私たち一人ひとりができる防災対策としては、まず避難場所の確認が重要です。また、非常用品を準備し、いつでも持ち出せるようにしておくことも大切です。避難経路を家族と共有し、緊急時にスムーズに避難できるようにしておきましょう。
札幌市の豊平川の洪水対策
札幌市も防災対策を強化しています。堤防の強化や河川の管理を進めており、洪水に対する備えをしています。また、防災システムを整備し、市民に迅速に情報を提供する体制を整えています。市民としても、防災訓練に参加し、いざという時に備えておくことが大切です。
6. 豊平川の特徴と過去の洪水事例
豊平川の概要
豊平川は、札幌市を流れる重要な河川です。その流域は広く、多くの人々が住んでいます。豊平川は急流であり、過去には何度も氾濫してきました。そのため、川沿いにはしっかりとした堤防が築かれていますが、近年の気候変動により、その堤防も危険にさらされています。
札幌市民が利用する水道水の98%はこの豊平川から供給されており、上流部には定山渓国有林の「水源の森」があります。その源流は豊かな森林の奥深くにあり、豊かな森林にしみ込んだ雨や雪が、長い時間をかけて地表へと湧き出します。こうして湧き出した水は集まり、次第に大きな流れとなります。この水は、豊平峡ダムや定山渓ダムに蓄えられ、人口密集地や工場地帯を通ることなく、きれいな水質を保ったまま市街地へと流れます。結果として、「おいしい水」が札幌市民に絶え間なく供給されています。
豊平川、昭和56年8月の豪雨洪水被害
昭和56年8月、札幌市は大規模な豪雨に見舞われました。このとき、豊平川の水位が急上昇し、堤防が一部壊れました。これにより、川沿いの地域で大規模な浸水被害が発生しました。家屋や店舗が水に浸かり、多くの住民が避難を余儀なくされました。この豪雨は、札幌市にとって大きな教訓となり、現在の防災対策の基盤となっています。
2011年9月6日 札幌は24時間で最大80ミリ前後だった模様
7. 地球の気候変動と豪雨の影響
気候変動による豪雨の増加
地球温暖化が進行する中、気候変動による異常気象が増えています。特に、短時間で大量の雨が降る「短時間豪雨」の頻度が増加しています。データによれば、時間雨量30ミリを超える豪雨の発生回数は、30年前の約1.9倍に増えています。これにより、河川の水位が急激に上昇し、堤防の決壊リスクが高まっています。
北海道の具体的な被害例
例えば、平成27年9月の関東・東北豪雨では、利根川水系の鬼怒川で堤防が決壊し、広範囲にわたる浸水被害が発生しました。この豪雨は、短期間に非常に多くの雨が降り、堤防が耐えられなくなったために発生しました。また、平成28年8月には、北海道に観測史上初めて1週間に3つの台風が上陸し、南富良野町では空知川の堤防が決壊して市街地が甚大な浸水被害を受けました。
これらの事例は、地球温暖化による気候変動がもたらすリスクを如実に示しています。私たちが住む札幌市でも、同じような状況が起こり得るのです。そのため、事前にしっかりとした防災対策を講じ、豪雨に備えることが大切です。
8. まとめ
豊平川の堤防が決壊した場合、札幌市には大きなリスクが伴います。特に地下街への浸水は、市民生活や経済に深刻な影響を及ぼします。私たち一人ひとりが防災意識を高め、適切な対策を講じることが重要です。
未来へ向けて
地球温暖化による気候変動が続く中、さらなる防災対策の強化が求められます。市民と行政が協力し、洪水に対する備えを強化していくことが必要です。気候変動に対応した都市防災の取り組みを進め、未来に向けて安心・安全な生活を実現しましょう。