見て驚け!!!世界にふたりだけ。ギネス記録を持つ“ちょっと不思議な双子姉妹”
アメリカ・テキサス州トンボールに住む、シエナ・バーナル(Sienna “Sinny” Bernal)さんとシエラ・バーナル(Sierra Bernal)さん。このふたりは、一卵性双生児でありながら、見た目も体格も大きく異なる姉妹です。
その違いがあまりにも珍しかったため、ギネス世界記録を2つ同時に取得するという快挙を成し遂げました。
- 世界記録1:一卵性双生児で最も身長差がある
- 世界記録2:最も珍しい不一致双生児(discordant twinning)
「ただ私たち、普通に生きてるだけなんだけど(笑)」と語る姉妹の物語には、遺伝子の奇跡と家族の愛が詰まっています。
“同じはず”の双子なのに…身長差はなんと38cm!
ふたりの身長差はなんと38cm(約15インチ)。妹のシエナさんは132cm(4フィート4インチ)、一方、姉のシエラさんは約170cm(5フィート7インチ)と、まるで別人のような違いです。
けれど実はこのふたり、遺伝的には同一の一卵性双生児。
なぜこんなにも成長に差が出たのかというと、そこには複雑な医療的背景と極めて稀な突然変異がありました。
原始性小人症とDandy-Walker症候群を抱えて生まれたシエナさん
1998年12月22日、シエナさんとシエラさんは双子として生まれました。
しかしシエナさんの体重はわずか680g(1ポンド8オンス)。姉のシエラさんは約2kgあったため、出生時からすでに3倍近い差があったのです。
医師たちは当初、「心臓に穴があるせい」「肺の発育が未熟だから」と説明していましたが、成長しても体重も身長もほとんど伸びず、家族は異常を感じていました。
8歳のとき、ついに専門の遺伝子検査で「原始性小人症(primordial dwarfism)」と診断されました。この病気は、全世界で確認されている患者が200人未満という超希少疾患です。
さらに彼女は、脳の一部が発達しないDandy-Walker症候群というもう一つの先天性疾患も抱えていたのです。
「遺伝子は同じでも、人生は違っていい」姉妹が教えてくれること
シエラさんはナッシュビルで音楽活動を続けるアーティスト。高身長で健康な彼女は、「まさか自分がギネス記録を持つなんて思ってなかった」と笑います。
一方のシエナさんは、母親とともに低身長者の権利擁護活動に力を入れており、教育機関や公共施設が“誰でも使える空間”になるよう、積極的に発信を続けています。
2人は「違いをネタにすることで、お互いに救われてきた」と語ります。
「ただ生きてるだけで世界記録って、おかしいけどちょっと面白いよね(笑)」
─ シエナ・バーナルさん
「こんなに違うのに同じ遺伝子って、逆にすごくない?」
─ シエラ・バーナルさん
「お姉ちゃんが世界記録」って、実はすぐ隣にあるかも?
「世界記録」と聞くと、ものすごい才能やトレーニングが必要だと思いがちですが、実は“生まれながらの条件”や“家族の形”が記録になることもあるんです。
今回ご紹介したバーナル姉妹のように、「当たり前の日常の中にある、特別なストーリー」は、意外とあなたの隣にも眠っているかもしれません。
そしてそれが、世界をちょっと明るく、優しくするのです。
ティルネシュ&ゲンゼベ・ディババ|五輪と世界記録を制した姉妹
エチオピア出身のティルネシュ・ディババさんとゲンゼベ・ディババさんは、姉妹でありながら、それぞれ異なる陸上競技で世界記録を保持しています。ティルネシュさんは5000メートル走で、ゲンゼベさんは1500メートル走で世界記録を樹立しました。
Genzebe Dibaba’s 1500m Gold Medal Interview
2015年世界陸上北京大会で1500m金メダルを獲得した直後のインタビュー映像です。
ティルネシュ・ディババ|長距離界の“ベビーフェイス・デストロイヤー”
ティルネシュ・ディババさんは、エチオピアの長距離ランナーで、2008年のオスロ大会で5000メートルの世界記録(14分11秒15)を樹立しました。また、2008年北京オリンピックでは5000メートルと10000メートルの両種目で金メダルを獲得し、2012年ロンドンオリンピックでも10000メートルで金メダルを獲得するなど、数々の偉業を達成しています。
ゲンゼベ・ディババ|中距離界の新星
ゲンゼベ・ディババさんは、ティルネシュさんの妹で、中距離種目で活躍しています。2015年のモナコ大会で1500メートルの世界記録(3分50秒07)を樹立し、2016年リオデジャネイロオリンピックでは1500メートルで銀メダルを獲得しました。また、室内競技でも複数の世界記録を保持しています。
IAAF Inside Athletics Season 2 – Episode 02 – Genzebe Dibaba
IAAFが制作したゲンゼベ選手の特集番組で、彼女のトレーニングや競技への取り組みが紹介されています。
エチオピアが誇る“ランニング姉妹”の今後に注目
ディババ姉妹は、今後も陸上競技界での活躍が期待されており、若い世代のアスリートたちにとってもロールモデルとなっています。彼女たちの成功は、エチオピアの高地トレーニング環境や家族の支援、そして自身の努力の賜物です。
Tirunesh Dibaba in October Chicago Marathon
シカゴマラソンでのティルネシュ選手の走りを収めた映像です。
ディババ家の陸上王国
ディババ家は、ティルネシュさんとゲンゼベさんの他にも、姉のエジェガエフさんが2004年アテネオリンピックで10000メートル銀メダルを獲得し、従姉妹のデラルトゥ・ツルさんが1992年バルセロナオリンピックで10000メートル金メダルを獲得するなど、陸上界で多くの成功を収めています。
次世代への影響と未来への展望
ディババ姉妹の活躍は、エチオピア国内外の若いアスリートたちに大きな影響を与えています。彼女たちの成功は、努力と家族の支援があれば、世界の舞台で活躍できることを示しています。今後も彼女たちの動向に注目が集まることでしょう。
このように、ティルネシュさんとゲンゼベさんは、それぞれの種目で世界記録を樹立し、オリンピックでもメダルを獲得するなど、陸上界で輝かしい実績を持つ姉妹です。彼女たちの成功は、エチオピアの陸上競技の発展にも大きく貢献しています。
まとめ|“姉妹の違い”が世界を動かす時代に
スポーツの世界でも、医学の領域でも、「姉妹」という絆が世界記録を塗り替える。そんな現実が、今まさに私たちの目の前にあります。
テキサス州のバーナル姉妹は、「同じ遺伝子を持っているのに、ここまで違う」と世界を驚かせました。病気や障害に屈せず、自分たちの存在そのものが世界記録になった彼女たちは、多様性の美しさと家族の力を見せてくれました。
一方、エチオピアのディババ姉妹は、世界トップのアスリートとして、努力と才能で陸上界の歴史を塗り替えました。何人もの家族がオリンピックメダリストという環境の中で、2人は“走るDNA”を世界に証明したのです。
2組の姉妹が証明してくれたのは──
「違うからこそ価値がある」「共にいるからこそ乗り越えられる」という、シンプルで力強い真実でした。
そしてふと、身近な「お姉ちゃん」や「妹」を思い出してしまうのです。
もしかしたら、世界一って案外、すぐそばにいるのかもしれません。