いや、びっくりした。初期接続時は、Macaronのボリュームが100になっているので、下手するとイヤホンが壊れる、もしくは鼓膜が破壊されるかも(汗)。要注意ですよ・・・。再生する前に必ず音量を下げるように。
🟥 iBasso Jr Macaronとは?注目のUSB DACをおさらい
同梱物:金属製の高級感のあるケース。(洗濯バサミは大きさ比較用)
接続環境:WindowsノートPC。及びandroidスマートフォン。

🔹 1万円以下で買える高性能DAC
近年、ポータブルオーディオの進化は著しく、もはや「安かろう悪かろう」は通用しない。
特にUSB DAC(Digital to Analog Converter)市場は、数千円台からでも十分に高音質を楽しめる時代へと突入した。その中で、iBasso Jr Macaronは、税込1万円未満という価格帯ながら、音質・機能性・拡張性の三拍子を揃えた秀作であると断言できる。
この価格帯では、多くの製品が“入門機”としての妥協を許容してしまいがちだ。しかし、Macaronは違う。iBassoがこれまで培ってきた設計思想を引き継ぎながら、「低価格でも本格派」を体現した製品として登場した。
安価な製品では珍しいUSBケーブル分離式や、3.5mm/4.4mmの両出力に対応する点も見逃せない。これは、単なる初心者向けガジェットに留まらず、本格的なリスニング環境の基礎を築けるポテンシャルを秘めている証左である。

🔹 CS43131デュアル搭載の音質とは?
DACチップに採用されたのは、Cirrus Logic社製のCS43131を2基搭載。
これは、兄弟チップCS43198と同様にハイファイ市場で高い評価を得ているものであり、低歪・高S/N比・低消費電力を兼ね備えたバランスの取れた設計が特長だ。Macaronでは、これを左右チャンネルにデュアル構成で搭載している。
この構成が意味するところは単純明快。すなわち、原音忠実性の高さと、左右の分離感・定位感の向上だ。筆者が実際に高感度なIEM(インイヤーモニター)で試聴した限りでも、音場の広がりと中高域の透明感は、価格帯を明らかに逸脱していると評してよい。
また、ホワイトノイズは皆無に等しく、静寂から立ち上がる音の輪郭が極めて美しい。特にクラシックやアンビエントといった、微細なニュアンスが命のジャンルでその真価を発揮する。CS43131を“ただ載せただけ”のDACとは一線を画す、iBassoの設計センスが光る音作りだと言える。
🔹 アプリ連携で初心者にも優しい設計
iBasso Jr Macaronの魅力は、ハードウェア性能だけにとどまらない。
専用アプリ「iBasso UAC」との連携により、音質調整の自由度が飛躍的に向上するのも本機の大きな強みだ。Androidユーザーであれば、このアプリからゲイン設定(Low/Mid/High)やデジタルフィルターの切替、LRバランス調整、出力モード選択まで、直感的なUIでコントロールが可能となる。
物理ボタンを極力排したシンプルな筐体設計ゆえ、アプリを介しての視覚的フィードバックは初心者にとって非常にありがたい存在だろう。とりわけ、「今どのフィルターが有効になっているのか」「音量はいくつなのか」といった状態が一目で分かるのは、ライバル機種には見られない親切設計だ。
唯一残念なのは、iOSには非対応という点だが、これはAndroid端末を1つ持つことで克服できる範囲にある。むしろ、Macaronのフル機能を引き出すための“専用コントローラー”として、Android端末があると考えれば合理的である。
このように、iBasso Jr Macaronは単なる「安価なUSB DAC」ではない。
明確な音質設計思想と、ユーザビリティへの配慮が同居した、エントリークラスの完成形ともいえる存在である。
🟥 3.5mmと4.4mm、接続方式の違いとは?

🔹 アンバランス(3.5mm)の特徴とメリット
3.5mmステレオミニ端子は、もっとも一般的かつ汎用性の高い接続方式である。
多くの有線イヤホン、ヘッドホン、さらにはオーディオプレイヤーやノートPCにも標準搭載されており、その“広く浅く”な互換性は他の追随を許さない。
iBasso Jr Macaronにおける3.5mm出力も例外ではなく、非常に安定した駆動とナチュラルな音色を提供する。
実際、筆者が低インピーダンスのダイナミック型IEMで試聴したところ、中低域の滑らかさとボーカルの質感の豊かさには目を見張るものがあった。
特筆すべきは、“疲れない音”であること。
聴感上のピークがなく、音圧に押し潰されることもない。これは、長時間のリスニングや音楽ゲーム用途など、集中力を必要とするシーンにおいて特に重宝される傾向だ。
ただし、左右の分離感や空間表現という点では、バランス接続には一歩譲る印象も拭えない。言い換えれば、「音楽を優しく包み込む」タイプの出力であり、リスニング向けとしては非常に優秀だ。
🔹 バランス(4.4mm)の特徴とメリット
一方、4.4mmバランス接続は、近年急速に市民権を得てきたハイエンド指向の接続規格である。
信号の伝送を正負に分離し、それぞれを独立した回路で処理する構造上、左右チャンネル間のクロストーク(信号干渉)を極限まで抑え、出力の純度と駆動力を飛躍的に向上させる。
実際、Macaronの4.4mm出力では、音場の広がりが圧倒的である。
定位はより明確に、低域はタイトに引き締まり、そして何より音楽全体に“芯”が通る感覚。これは3.5mmでは得がたいダイナミズムであり、中〜高価格帯のIEMや開放型ヘッドホンにおいてこそ真価を発揮する出力方式だ。
また、出力パワーが高いため、インピーダンスの高い機器も余裕をもってドライブ可能である。
筆者の環境では、従来のスマホ直挿しでは音量不足だった平面駆動型ヘッドホンが、Macaronの4.4mm接続では存分にポテンシャルを発揮してくれた。
当然、出力が強いということはノイズ管理も重要になるが、ここでもMacaronは優秀で、ホワイトノイズは皆無。音が鳴っていない瞬間すら、高級機さながらの静寂を感じさせる。
🔹 どっちを選べばいい?目的別おすすめ
3.5mmと4.4mm、両方使えるMacaronは、ユーザーの用途や環境に応じて「音のチューニングそのものを変えることができる製品」とも言える。以下のような選び方を推奨したい。
用途/好み | おすすめ接続 | 理由 |
---|---|---|
リラックスして長時間聴きたい | 3.5mm アンバランス | 柔らかく疲れにくい音質 |
音の分離・定位を重視する | 4.4mm バランス | 音場の広がりと明瞭さ |
音楽ゲーム・動画視聴など多用途 | 3.5mm アンバランス | 汎用性が高くノイズ少なめ |
高価格帯イヤホン・ヘッドホンと組み合わせたい | 4.4mm バランス | 駆動力と情報量が優秀 |
結論として、iBasso Jr Macaronは、両端子を搭載しているからこそ価値がある。
それぞれの接続方式に「音質」「用途」「好み」に応じたキャラクターが備わっており、同じ楽曲でも違った表情で楽しめるのは、本機の特権である。
🟥 音質比較レビュー!iBasso Macaronで聴き比べてみた
接続環境:WindowsノートPC。及びandroidスマートフォン。
🔹 出力・駆動力の違い(低音の厚み・音圧)
筆者がまず感じたのは、4.4mmバランス接続の“余裕”ある駆動力である。
ボリュームをそれほど上げなくとも、低域がしっかりと沈み込み、音像がグッと前に押し出される。これは単なる音圧の話ではない。空気の圧縮感、つまり「音に包まれるような質量感」が確かに存在する。
一方、3.5mmアンバランス接続では、同じ曲でもややマイルドなチューニングに聞こえる。
音のアタックは抑えめで、聴き疲れしない穏やかなリスニングサウンドに仕上がっており、これはこれで評価すべき個性だ。
とりわけEDMやロックなどのジャンルでは、4.4mmがその真価を発揮する。
キックの一撃目にある「重み」と「輪郭」が明確で、音源の持つ情報量を余すところなく再生してくれる。この差は、3.5mmでは若干ぼやけがちになる傾向がある。
🔹 分離感・空間表現の違い(定位・広がり)
空間表現と定位感においては、Macaronの4.4mm出力が圧勝である。
たとえば、ジャズトリオを再生すると、ピアノ・ベース・ドラムがしっかりと三点に配置され、それぞれの音が独立して存在しているかのような立体感を感じる。
一方で、3.5mm接続では、定位はやや中央に集まりがちで、音像同士がわずかに重なって聴こえる場面もある。
とはいえ、これはあくまで相対的な差であり、この価格帯でここまで明瞭なステレオ分離を実現できている3.5mm出力は稀有であるとも言える。
特筆すべきは、CS43131チップの高性能に支えられた高解像度の中高域であり、シンバルの余韻やピアノの響きにおいて、4.4mmでは“空気の層”まで感じさせる立体的な再現が実現されていた。
🔹 ノイズ・静寂感の比較(ホワイトノイズ有無)
Macaronの評価を語るうえで欠かせないのが、ノイズフロアの低さだ。
筆者が最も感動したのは、超高感度IEMを接続した状態でもホワイトノイズが一切感じられなかった点である。
これほど小型のバスパワー駆動DACで、ここまで“漆黒の静寂”を実現できている例はそう多くない。特に、4.4mm接続での静寂感は目を見張るものがあり、楽曲が始まる前の“無音”の説得力がまるで違う。
対する3.5mmでもノイズはほぼ感じられず、実用上の問題は皆無。
ただ、ノイズ耐性という点では、やはり差は存在する。スマートフォンとの接続時、電波干渉などに敏感な環境では、4.4mmのほうがより安定していたことを記しておきたい。
📝 総合評価:音の「本気」を味わいたいなら4.4mm接続を選べ
Macaronは、音の本質を知るための良質な入り口である。
特に4.4mm出力は、ハイエンドDACにも迫るパフォーマンスを発揮しており、3万円前後の据え置き型DACと比較しても、引けを取らない解像感と余裕ある駆動力を感じさせる。
一方で3.5mmも、決して“劣化版”ではなく、むしろ「柔らかく、ナチュラルな音色」を求めるユーザーにとっては、完成された選択肢である。
Macaronが優れているのは、この両者を1台で味わえる点にある。
使い分けることで、同じ楽曲を2度楽しむことも可能。まさに、音の楽しみ方を拡張してくれる存在なのだ。
🟥 iBasso Macaronとイヤホン・ヘッドホンの相性
🔹 おすすめイヤホン5選(3.5mm編/4.4mm編)
Macaronは、エントリー価格帯でありながら出力の余裕・ノイズ耐性・接続形式の豊富さという三拍子を揃えているため、組み合わせるイヤホン・ヘッドホンによってその“本気度”が引き出される。
ここでは、筆者が実際に試したモデルの中から、3.5mmと4.4mmそれぞれで特に好相性と感じたイヤホンを厳選して紹介する。
✅ 【3.5mm接続におすすめ】
- Moondrop CHU II
→ 繊細な中高域がMacaronのナチュラルさとマッチ。1万円以下とは思えない透明感。 - final E500
→ ASMRやバイノーラルとの親和性が高く、Macaronの静寂性と好相性。 - Zero Audio Carbo Tenore
→ バランス重視の音作りが、3.5mm出力のマイルドさと噛み合う。
✅ 【4.4mm接続におすすめ】
- Moondrop Blessing 3(バランス対応)
→ 駆動力が求められるハイブリッド型もMacaronで完全にドライブ可能。 - SENNHEISER IE600(バランスケーブル使用)
→ 解像感の高さがMacaronの芯の通った中高域と合わさり、極めて明瞭。
🔹 高インピーダンス機器との組み合わせ実例
一般に、高インピーダンス(60Ω以上)のヘッドホンやIEMは、駆動力のないDACでは音がこもりがちになる傾向がある。しかしMacaronは、4.4mmバランス接続時の出力が極めて優秀であるため、次のようなやや“重め”の機種とも問題なく組み合わせ可能だった。
- AKG K240 Monitor(600Ω)
→ 通常のUSB DACでは鳴らしきれないが、Macaron(4.4mm変換使用)では中低域までしっかりドライブ。 - HIFIMAN HE400se(平面磁界)
→ 音量も充分に取れ、平面ならではの空間表現がMacaronでしっかり展開された。
この出力性能は、1万円以下のポータブルDACでは明らかに“例外的”な実力であり、CS43131のデュアル構成+チューニング精度の高さが垣間見える。
🔹 注意すべき接続トラブルと対策
とはいえ、Macaronの実力を最大限に発揮するためには、接続周りの注意も必要である。以下に、よくある“落とし穴”とその回避法を記しておく。
トラブル事例 | 対策・備考 |
---|---|
スマホと接続したら音が出ない | OTG機能がオフになっている可能性。設定から有効化を。 |
片側しか音が出ない | イヤホンのバランスケーブルが4.4mm規格に非準拠な場合がある。信頼性あるケーブルを選ぶべし。 |
ノイズが乗る(特にスマホ直刺し) | USBハブや延長ケーブルを介すと改善するケースあり。ケーブル断線にも注意。 |
4.4mm接続で音が出ない | 本体とイヤホンの接点が奥まで刺さっていないことが多い。しっかり挿し込む。 |
また、Macaronは軽量ゆえ、ポケット内でケーブルが緩みやすいという欠点もある。
ポタアン用の固定バンドやケースを併用することで、接触不良を未然に防ぐことができるだろう。
📝 Macaronは「選ばない」機器でありながら「引き出す」機器である
USB DACにおいて、機器相性はときに“運命の分かれ道”となる。
しかしMacaronは、広い許容力と高いポテンシャルの両立によって、“鳴らせないイヤホンがない”と言っても過言ではない汎用性を誇る。
そして何より、鳴らし切るだけでなく、音の個性までも引き出す設計思想が随所に感じられるのだ。
🟥 iBasso UACアプリの使い方と便利機能
🔹 ボリューム調整・ゲイン切替
iBasso Jr Macaronの設計思想は「シンプルであること」と「細部までチューニングできること」の両立にある。
これを可能にしているのが、Android専用の連携アプリ「iBasso UAC」だ。
まず注目したいのがボリューム調整の精度である。
本体側でも音量調整は可能だが、アプリを使えば視覚的に現在の音量レベルを把握しながらスライダーで直感的に微調整できる。
特にスマホ単体では音量ステップが粗く、ちょうど良い音量が見つからないという不満を解消できる点は、音楽ゲームユーザーや夜間リスナーには大きな利点だ。
さらに、Macaronではゲイン設定をLow/Medium/Highの3段階で切り替え可能。
これは通常、1万円以下のDACには搭載されていない機能であり、イヤホンからフルサイズヘッドホンまで幅広く対応できる懐の深さを象徴している。
🔹 デジタルフィルターの種類と使い分け
UACアプリのもう一つの醍醐味は、デジタルフィルターの選択にある。
これは単なる味付けではなく、音の立ち上がりや減衰、空間の広がり方に微妙な変化を加える高度な調整機能である。
例えば、
- スロー・ロールオフ:余韻を滑らかに、柔らかくリスニング向け
- ファスト・ロールオフ:立ち上がりを速く、タイトな低音で音ゲー向け
といった形で、ジャンルや好みに応じた音質調整が可能。
通常、これらの設定は説明書のLED点滅などで暗号のように操作する必要があるが、Macaronではアプリからワンタップで確認・切替ができる。
🔹 出力モードやLRバランス調整も直感的に操作可能
さらにUACアプリでは、左右バランス(L/R)の微調整や、出力形式(Normal/Turbo)の切替も可能。
これにより、たとえば片耳の聴力にわずかな差がある人でも、最適な定位で音楽を楽しめるという配慮がなされている。
加えて、Turboモードではより駆動力が求められるヘッドホンを接続した際にも、余裕のある音圧を確保できるため、用途に応じた出力チューニングが可能となる。
📝 アプリはAndroid専用、だが……
iBasso UACアプリの唯一の弱点は、Android専用であることだ。
現時点ではiOSユーザーはこの恩恵を受けられないため、Macaronのポテンシャルを100%引き出したい場合は、サブ機としてAndroid端末を1つ持つことを強く推奨する。
とはいえ、アプリがなくても基本動作は安定しており、Macaron自体が優秀なDACであることには何ら変わりはない。
アプリは“補助輪”ではなく、“ブースター”であるという認識を持つべきだろう。
🟥 まとめ|Macaronは初心者にもベストなUSB DAC
正直に言って、使ってみるまでは“よくある安価なUSB DAC”のひとつだと思っていた。
だが、iBasso Jr Macaronは違った。
スマホに挿した瞬間、再生ボタンを押した瞬間、「あ、音が変わった」と即座に分かるレベルの変化があった。
まず感じたのは、音の輪郭がくっきりと立ち、全体に張りが出るような印象。
特に4.4mmバランス接続に切り替えたときの低音の沈み込みと音場の広がりは、1万円以下の製品とは思えないクオリティだった。
高価なイヤホンを“鳴らし切れていない”感覚がずっとあったが、Macaronに変えただけで、イヤホンが本気を出してきたような感覚すら覚えた。
一方、3.5mmでも十分すぎるほどの解像度と自然な音の滑らかさがあり、「優しい音で長時間聴くならこっちだな」とすぐに分かった。
そして何より驚いたのは、ホワイトノイズの無さ。
静かな環境で無音の状態を作っても、耳に刺さるようなノイズが一切なく、まるで空気だけが流れているような静寂があった。
操作面では、Androidの「iBasso UAC」アプリを使うことでゲイン・フィルター・出力・左右バランスまで細かく調整でき、
「この値段で、ここまでできるのか」と驚くばかり。
アプリを開くだけで今の状態が視覚的にわかるというのも、地味ながら非常に助かる。
使ってみてわかったが、Macaronはただの“エントリーモデル”ではない。
初心者でも使えるシンプルさと、オーディオ好きが唸る音質の両立を実現した、まさに“ベストな1台”だった。
🎯 最後に──
いろんなDACを試してきたが、「これでいい」じゃなくて「これがいい」と思えたのは久しぶりだった。
もしあなたが、
- 「スマホの音じゃ物足りない」
- 「でも難しい操作や接続はイヤ」
- 「できれば、今後のイヤホン買い替えにも対応できるDACが欲しい」
そんなふうに思っているなら、iBasso Jr Macaronは間違いなく“ちょうどいい”1台になる。
価格、音質、使いやすさ――
どれをとっても、1万円以下で手に入るのが不思議なレベルだ。