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NICEHCK EB2S Proの、3.5接続と4.4接続を徹底比較レビュー

15.4mmという大型LPC振動版から奏でられる音は、柔らかく女性ボーカルにとてもマッチする。だが、EB2S Proは、ハードロックなどディストーションのかかった音には向かない。ハードロックを聴く人にはお勧めできない。

NICEHCK EB2S Pro内容物

🟥 NICEHCK EB2S Proとは?イントラコンカ型イヤホンの魅力

🔹 開放型イヤホンの音質的メリットと注意点

NICEHCK EB2S Proは、筆者のように長年カナル型に疲れてきたリスナーにとって、まさに“耳を休めるための音のオアシス”とも言える存在だ。
このイヤホンはイントラコンカ型(インナーイヤー型)に分類され、耳穴に押し込むカナル型とは異なり、耳のくぼみに軽く引っ掛けるスタイルを取る。遮音性こそ犠牲になるものの、それを補って余りある「開放感」が得られる。

実際にMacaronを介してノートPCに接続し、ストリーミング音源を流してみたが、音が“頭の中”ではなく“外側”からふわっと包み込む感覚に驚かされた。
閉塞感がないため、BGM的にも最適で、音楽と生活音の共存が苦にならない。これは、在宅ワークや深夜のリラックス用途に非常に有効だ。

もちろん、開放型ゆえに低音は沈み込まず、EDMや重低音主体の楽曲では物足りなさを感じる場面もあるが、その代わりに得られる中域〜高域の自然な響きと空間の広がりは代えがたい。


🔹 銀メッキケーブルの音への影響は?

Proモデルで注目すべきは、やはりケーブル素材の変更による音質傾向の変化だ。
筆者は、通常版EB2Sも所有しており、同一の曲を3.5mm接続で聴き比べてみたが、Proでは明らかに高音域の明瞭さと分離感が向上していた。

銀メッキ線の特徴である「輪郭の強調」がうまく活きており、特に女性ボーカルの息遣い、弦楽器の弾き返し音などがくっきりと浮かび上がる印象を受けた。
ただし、誤解してはならないのは、刺さるような高域にはなっていないという点。全体としては、マイルドかつリスニング向けに調整された音色はそのままに、わずかな“スパイス”が加わったような印象だ。

個人的には、このチューニングは非常に好ましい。原音忠実というよりも、音楽の「心地よさ」を優先した音作りといえるだろう。


🟥 3.5mmと4.4mmの接続、何が違う?

3.5と4.4ジャック

🔹 音の分離感・定位にどう差が出る?

iBasso Jr Macaronを使って3.5mmと4.4mmを比較した結果、最も顕著に差が出たのは“音の分離”と“音像の立体感”だった。

3.5mmでは、音が優しくまとまり、音の層が薄く重なるような聴こえ方をする。これはこれで心地よく、リラックスしたい時には最適だ。
だが、4.4mmに切り替えた瞬間、音の定位が明瞭になり、それぞれのパートが一歩ずつ前に出てくるような立体感が感じられた。
特にライブ音源やアニソン系の楽曲では、背景のストリングスとメインボーカルの距離感が明確に分かれる感覚があり、「ああ、これはもう別物だな」と感じた。

また、空間の広がりも4.4mmの方が一枚上手だ。イントラコンカ型との相性も良く、EB2S Proの開放感がよりナチュラルに引き出される。


🔹 スマホやDAPとの相性と実用性

EB2S Proは、スマホでも問題なく使える3.5mmモデルも存在するが、Macaronを通して4.4mmで使用したときの音質差は明確だ。
特にスマホ単体では鳴らしきれない繊細な高域や分離感は、Macaronを介することでしっかり補完される。

また、Macaronには独立ボリュームがあるため、DAPやスマホ側の音量ステップに左右されず、細かい音量調整ができる点も相性の良さを後押しする。

4.4mmモデルを使えば、将来的に他のバランス対応DAP・DACへの移行も視野に入るので、拡張性の面でもProモデルの利便性は高い。
装着感が軽く、無理のない密着度で長時間使用できるEB2S Proと、Macaronの出力バランスは非常に好相性だと断言できる。


🟥 MacaronとEB2S Proの組み合わせはベストか?

🔹 iBasso Jr Macaronとの相性とセッティング

筆者が実際にノートPC → iBasso Jr Macaron → EB2S Pro(4.4mm)という接続でじっくりと聴き込んだ結論から言う。
Macaronは、EB2S Proにとって最良のパートナーの一つだ。

まず、CS43131デュアル構成によるクリアかつノイズレスな出力特性が、開放型特有の音抜けの良さを妨げずに活かしてくれる。
特に高音域の伸び、ボーカルの滑らかな立ち上がりは、Macaronを通すことで「刺さらないけどくっきり出る」絶妙なバランスになる。

Macaronの出力はパワーに余裕があり、EB2S Proのようなインナーイヤー型でも音が薄くならず、しっかりと駆動できる。
インピーダンスや感度の相性においても、完全に噛み合っていると言っていい。


🔹 ゲイン・フィルター設定のベストバランスは?

Macaronは3段階のゲイン(Low/Mid/High)と、複数のデジタルフィルターをiBasso UACアプリで変更できる。

筆者のおすすめセッティングは以下の通り:

  • ゲイン:Low〜Mid(音源によって使い分け)
     → Midでは音に張りが出るが、静かな環境ではLowでも十分
  • フィルター:スロー・ロールオフ(Slow Roll-Off)
     → 音のエッジが優しくなり、開放型の自然な広がりと相性抜群
  • Output:Normal
     → Turboは元気すぎて、耳が疲れやすくなる可能性あり

とにかくEB2S Proの美点は、聴き疲れしにくい優しい音にある。Macaronの設定も、それを活かす方向でチューニングするのが正解だ。


🟥 どんな人におすすめ?用途別で選ぶ接続方式

🔹 女性ボーカル重視ならどちらが良い?

EB2S Proは、アニソン・アイドルソング・J-POP女性ボーカル系との相性が非常に良い。
その中でも、3.5mmと4.4mmでは描き方が変わると感じた。

  • 3.5mm接続:温かく包み込むようなボーカル
     → 声がやや太く、柔らかく表現される。リラックスしたいときに最適。
  • 4.4mm接続:声が一歩前に出る立体感ある描写
     → ブレスや口元の表情が強調され、ライブ感が増す。歌唱表現を重視する人はこちら。

個人的には、よりボーカルを“感じたい”なら4.4mmの一択だが、やさしく音楽を楽しみたいなら3.5mmも選択肢として非常に優秀だ。


🔹 動画・ゲーム・ながら聴きで最適な選び方とは

普段使いでの実用性も無視できない。
たとえば、YouTubeの視聴、ゲームプレイ、家事中のBGMといった“ながら聴き”では3.5mm接続の方が手軽で音も穏やかなのでおすすめだ。

逆に、集中して高音質を味わいたい場面や、環境音の少ない静かな夜間には、4.4mm接続による解像度の高さが真価を発揮する。

また、PC作業中に“軽く音楽を流していたい”という人にも、開放型+3.5mmの組み合わせは絶妙だ。
音楽に包まれつつも、環境音や通知音を遮らない自然なサウンドが得られる。


🟥 EB2S Proを今から買うなら、どっちの端子を選ぶ?

🔹 3.5mmと4.4mmの最終比較ポイントまとめ

比較項目3.5mm4.4mm
音の傾向優しく柔らかい、ナチュラル明瞭で輪郭が立ち、立体的
空間表現やや密度が高く、まとまり感開放感が際立ち、広がりを感じる
ボーカル描写落ち着いた厚みのある声前に出てくる透明感のある声
実用性取り回しがよく、どの機器でも使いやすい高音質だが使用機器に制限あり
Macaronとの相性◎(日常使用向け)◎◎(高音質志向に最適)

🔹 EB2S Proは“Pro”を選ぶべきか?

答えは、Yesだ。
銅線モデルも魅力はあるが、銀メッキ線によって得られる高域の明瞭さと音の分離感は、確実にEB2S Proを“上位互換”たらしめている。

特にiBasso Jr MacaronのようなDACと組み合わせるなら、音質を活かし切る意味でもProの方が確実に選ぶ価値がある
見た目も機能性も、価格差以上の満足感が得られるだろう。

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